
若干20歳のシンガーソングライター、大知正紘が新曲"君待つ今日"を配信限定でリリース。震災直後に発売されたデビュー・アルバム『ONE』制作の経験を通して成長した大知が"未練"をテーマに綴った佳曲だ。音楽家として大きな飛躍を遂げつつある彼の現在の心境を訊いた。(文/高橋圭太)
アルバム『ONE』リリースから半年経ちますが、いかがですか? 奇しくも東日本大震災からも半年経つわけですが。
| 大知正紘 |
思い悩んだ半年だったと思います。いろんな情報が自分の中に入ってきて、混乱しないよう整理しながら歩んだ半年というか。印象的だったのは仙台で行なったapバンク・フェスのパブリック・ビューイング。その幕間でライブさせてもらったんですが、来てたひとたちがみんな笑顔だったんです。その前日に被害の大きかった地域を見に行ったんだけど、被害の生々しさとお客さんの笑顔のギャップがすごくって。人生でいちばん悲しみの淵にいるはずのひとたちでも、すごくいい笑顔になれるんですよ。歌でそういったひとたちを笑顔にできるんだったら素晴らしいなって思いましたね。でもそれでこれまでの自分の歌にはひとりよがりな部分が多かったってことに同時に気付けて。それに気付けたことで、これまでとは曲の作り方も少しずつ変わってきたと思いますね
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具体的にどのような変化があったと思います?
| 大知正紘 |
楽曲に対しての思いが強すぎると、やっぱり途中から意固地になってしまうと思うんですよ。たとえば制作途中で"あぁ、これはひとりよがりな表現だな"と思っても、それを変更するということ=自分を否定することだと錯覚しちゃう。だから自分と楽曲のあいだにちょうどいい距離を置くことっていうのが最近のテーマですね
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今回の配信シングル"君待つ今日"についてもそうですか?
| 大知正紘 |
そうですね。楽曲自体はワンマン・ツアーの前には出来上がっていて、ライブの最後にも披露してるんですけど、そこからブラッシュアップを重ねて。よりわかりやすく、ひとつのテーマから脱線しないってことを念頭に置きながら、感情的にならない、冷静に考えて作った曲になってると思いますね
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歌詞のテーマはずばり"未練"です。着想は実体験から?
| 大知正紘 |
そうですね。歌詞のなかの"交差点"はもろに渋谷のスクランブル交差点だったりするし。とはいえ多くのひとが共感できるようにあれこれ考えましたけどね。未練の残る経験って誰しもがしてると思うんですよ。それってふとした香りや味とかで思い起こされるものだと思っていて。この曲もそういった昔を思い起こすきっかけのひとつになってもらいたいなって気持ちはありますね
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大知くん自身は"未練"という言葉にどんな印象を持ちますか?
| 大知正紘 |
一般的に"未練"って聞くと、どうしてもネガティブな聞こえ方をしますよね。でもぼくは未練を残すって決して悪いことじゃないと思うんですよ。それがあるから前に進めることもあるし、考え方によっては素敵なことじゃないかって
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メロディーやバックトラックに関してはどのようなコンセプトで?
| 大知正紘 |
自分の感覚として、あんまりいじりすぎると曲自体がブレてきちゃうっていうのがあって。今回は歌詞を書き直すことが多かったので、そのぶんメロディーに関してはブレのないものを作ろうって意識でしたね
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現時点で自分が超えなきゃいけないハードル、音楽的に挑戦したいことはどんなことだと思いますか?
| 大知正紘 |
もっと自由に音楽を作れればいいなって思いますね。自分のなかで知らぬ間にルールを作っちゃってるんですよね、やっぱり。しかもそのルールを取っ払うっていうのはなかなか体力がいることで……。そのハードルを越えられればもっと多くのひとが笑える曲であったり、沁みたりする曲が作れると思う。最近はそんなことばかり考えていますね。遠くない将来にその目標を超えた大知正紘が見せられればいいなと
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