Cherie(チェリー)という音楽家をご存知だろうか。彼女は今年5月にシングル『恋のフシギ』でデビュー、10月には1stアルバム『JACK』をリリースした新進気鋭のシンガーソングライターである。とはいえ"デビュー"、"新進気鋭"という言葉を彼女に使うには多少の補足が必要だろう。実は彼女、今回のデビュー前に宇浦冴香という名義で音楽活動をスタート、ヒットを生みながらも2009年末に活動を休止している。活動休止後は自らも楽曲制作を開始、単身ニューヨークに渡るなど、新たな活動に向けて自身の基盤を固めた宇浦。そして2011年、Cherieとして新たなスタートを切った彼女は、より自分らしい音楽を標榜しながら現在も歌い続けている。本稿では現在の自分=Cherieと過去の自分=宇浦冴香による対談を企画。彼女の半生を振り返りながら、今後のヴィジョンを訊く。(文/高橋圭太)
今回のインタビューではCherieさんと宇浦さんの対談・・・・つまり、現在の自分と過去の自分による対談をお願いしたいと思います。まず、Cherieさんに質問したいんですが、現在の自分にはあって、過去の自分にはないものはなんだと思いますか? また、過去の自分にはあって、現在失われてるものを挙げるならどんなことでしょう?
| Cherie | いまの自分にあるのは欲求と愛情じゃないかな。Cherieに生まれ変わってファンの大切さにも改めて気付けたし、自分にとって音楽はかけがえのないものだってわかった。過去にあったけど失ったものは・・・・うーん、謙虚さかな(笑) |
|---|---|
| 宇浦冴香 | 謙虚だったっけ?(笑)たしかにそうかも。わたしは思ったことをどうしてすぐに言葉にできないんだろう、って悩むことが多くって。それは、音楽の経験も浅かったし、周りのスタッフも偉大な方ばかりだったから、謙虚っていうか、自分に自信がなかったのかな・・・・。"ウジウジ悩むところから脱出したい!"って強く思ってたから、その反動で現在の自分を形作ってるのかも |
| Cherie | たしかに昔は"どうせわたしなんて……"って思っちゃうこともあったけど、いまはすごく前向きに物事を考えられるようになったかな。それは活動を休止してた期間のおかげかも。その頃にいろんな事を考え、動いた・・・・。その中で得られたものは粘り強さだったり、開き直りの精神だったんだと思う。そのおかげで知らないうちに、これらの経験が自信につながったのかな・・・・。ライブやイベントで出会うひとりひとりとまっすぐ向き合うことが出来るようになったし、それがすごく楽しく感じられるようになったんだ |
では、過去に抱えてたコンプレックスはもうないと?
| Cherie | Cherieとしては、「コンプレックスなんてない!!」・・・・と答えたいところですが、これが残念ながらまだ普通にありますよ(笑)あたしもまだまだ弱い人間ですかね~(笑)いやいや、コンプレックスがあるから面白い!それがCherieです(笑) |
|---|
Cherieさんは前レコード会社との契約終了後、単身ニューヨークに向かいますね。当時の心境を教えてください。でもこの時期のことは、「宇浦さん」への質問になるのかな?どちらにしましょう?
| Cherie | ・・・じゃあここは宇浦ちゃんよろしく!!(笑) |
|---|---|
| 宇浦冴香 | はい。(笑)GIZAとの契約終了は本当に突然の事で驚きました。大人の事情とはいえ・・・(笑)私自身は、経験や結果など、いろいろ手ごたえがあった時期で、音楽制作に対してもとても燃えていた時期だったので・・・・ウソでしょ?って感じ(笑)。それでも"東京に戻ったら楽勝でしょ"って思って楽しく上京したんですけど(笑)現実はそんなに甘くありませんでしたね。さっきも言いましたが、いろんな場所でライブをしたり、音楽的にも新たな出会いがあったり、自分の世界が広がるんじゃないかとも思って、ある意味で新しいチャンス到来だと気軽に考えていた半面、正直、いてもたっても居られない時間もありました。 "このままでいいんだろうか"、"才能なんてないんじゃないだろうか"とか悩みましたよ。"大学も中退しちゃって本当に大丈夫なのか"とかもね。そうやって悩んでいくうちに不安で動き出せない時期もあったし。でも、やっぱり歌い続けるって夢は諦めきれなかったんです。カッコ悪くても足掻いてみようって。ニューヨークへ渡ったのはわたしに対する挑戦でした。そういうウジウジした自分への。本当にいい刺激をもらったと思います。表現し続けていく上での音楽に対する自信みたいなもの、渡米経験で回復したんじゃないかな |
| Cherie | うん、やっぱりニューヨーク行ってからすごく変わったよ、私が証明します(笑) |
| 宇浦冴香 | (笑)。それまでのわたしは引きこもりがちで、趣味も読書や長風呂だったもん。外に出るのもあんまり好きじゃなかったけど、いまはどう? |
| Cherie | そう思うとプライベートの過ごし方もだいぶ変わったかも。読書はあいかわらず好きだけど、外に出てワイワイするのも苦じゃないもんね。居酒屋巡りもよくするし。外で自分じゃない誰かの人生を見たり、聴いたりするのはすごく楽しい。電車や居酒屋でも、よく他人の話を盗み聞きしたりしちゃう(笑)。でも、そこから"人間臭さ"みたいなものを感じ取れるんだよね。その経験はそのまま作詞に反映されるからさ。これは宇浦時代にはなかった大事なポイントです(笑)・・未成年だっちゅうの!! |
| 宇浦冴香 | (笑)。家で机に向かってじっくり考えてた頃とは大違いだね。ほかに人がいると落ち着かなかったもんなあ。1度、学校の授業中に書こうとしたけど、こういうときに限って先生に当てられたりするんじゃないかなって思って全然集中できなかったし |
| Cherie | ほらね!君は、こういう経験談ひとつとっても、幼いというか学生だったんだよね。でもそれって羨ましい事よ。学業と両立しながら音楽をやり、またそんな自分を音楽で表現してた時期でもあった。だから、あの頃がすごく大事。君に感謝(笑) |
| 宇浦冴香 | 本当にそうですね。あの時代がなかったらCherieさんはないし・・・・ |
| Cherie | そうやって振り返ってみると、自分が生まれたとき、宇浦冴香として音楽をはじめたとき、Cherieという名前でまた音楽をはじめられたとき・・・・この新しく誕生する瞬間っていうのかな。大げさだけど、この経験というか分岐点を通過してきた自分・・・・これこそが、私の武器なんです(笑) |
なるほど。新アルバム『JACK』の話も伺いたいと思います。宇浦さんはアルバムを聴いてみて、どんな印象を持ちましたか?
| 宇浦冴香 | いままで聴いたことのない……というか、敬遠してたタイプのサウンドだけど、すごく開放的に感じましたね。素直にカッコいいアルバムだと思います。歌詞もなんだか爽快にエロいというか |
|---|---|
| Cherie | 嬉しい褒め言葉です(笑)。でも、そういう部分も人間臭さでしょ? これまで書いてこなかったカッコ悪い部分も含めて、人間臭さが正直によく出たアルバムになってる。なんせ、1年間かけて愛情も力も想いもすべて注ぎ込んだアルバムなんで。サウンド面でも"エレクトロとロックの融合"ってテーマを軸に、アメリカン・ロックやアコースティック・サウンドも取り入れていて、いろんな切り口で楽しめるアルバムだと思います。現在のわたしが濃縮された作品ですね |
収録曲でもっとも難産だった楽曲は?
| Cherie | "LEON"ですかね。1年前くらいに作りはじめた曲で、メロディーはすんなり浮かんだんですが、詞がかなり難航しまして・・・・ |
|---|---|
| 宇浦冴香 | Cherieさん流に、どう難航したのでしょう? |
| Cherie | 最初に作った歌詞が普通に人間の男女の恋愛を描いたものだったんですね。でもありきたりすぎて結構つまんなかった。書いてて全然ワクワクしない(笑)そこから抜け出すまでにすごく時間がかかっちゃって・・・・。最終的には10回くらい書き直しましたね、テーマを変えたりしながら。この曲の歌詞は"吾輩は猫である"みたいな視点で書いたんだけど、このアイディアが生まれた瞬間は"これだ!"って感じでしたね |
| 宇浦冴香 | おめでとうございます!これこそ、粘りから生まれた曲なんですね(笑) |
宇浦さん、最後にCherieさんに対しての思いやメッセージをお願いします。
| 宇浦冴香 | これまで培った知識と体験を軸に、わたしが越えられなかった壁を乗り越えてもらいたい。この壁ってなんだったんだろう・・・・って事が、今回のこの対談企画でいろいろ解った気がする。年齢的な事もそうだし、それを支えてくれる環境や、自分の経験も含め、自分の中の音楽に対する自信のなさっていうのかな。そういうものがもしかして潜在意識の中にあったのかもって事・・・・。そして、それはそれで、良かった事なんだと。だからCherieさんには、自分の意見や表現したいことをどんどん声に出して伝えて、誰かに認めてもらえなくたってブレない、そんな心を持ち続けてほしい。Cherieさんだったらきっとできると思うし、そうでなければ、宇浦冴香も悲しいんだという事です。 |
|---|---|
| Cherie | ありがとう。あなたにはあなたなりの魅力やパワーがあった、素晴らしい音楽を作り出せていた、それはね、今も共に私のそばにいる『ファン』が証明してくれています。あなたが羨ましいよ、こんなにまでついてきてくれるファンがいて。宇浦冴香を応援してくれたファンはこれからも私に付いて来てくれるのか、付いて来てほしい気持ちはあるけれど、そこはおごってはいけないね・・それは貴方のファンだからです。でもね、貴方以上にCherieを好きになってくれるのか・・・それが、これからの私の挑戦!これが、今日の対談企画で私が見つけた事。そして、もし現在も宇浦冴香として活動を続けていたら、もっともっと素晴らしい表現を追求し続けたと思うんだ。だから、わたしの使命は宇浦冴香が表現しようとしてたもの以上の音楽を生み出すこと。永遠のライバルであるという事だね。 |
![]() |
|
|---|
![]() |
|
|---|




















