
【musicpool事務局】 (2011年12月22日 20時22分)

【Live Report!】 東京事変
2011年12月7日(水)
東京事変 LIVE TOUR 2011 DISCOVERY
@東京国際フォーラム A
6月にリリースされた『大発見』は、東京事変の音楽的核心が、ひとつの到達点を見た“至福のスタンダード”と呼ぶべき最高傑作だった。2005年に現在のメンバー——椎名林檎、亀田誠治、刄田綴色、浮雲、伊澤一葉の布陣がそろってから、いまバンドはもっとも幸福に極まった状態にあると言える。そして、『LIVE TOUR 2011 DISCOVERY』の追加公演として行われたこの日のライヴは、そんな東京事変の現在地をまざまざと目撃するようなものだった。
オープニングナンバーは「天国へようこそ」。演奏するメンバーを覆う紗幕に映し出される、落下し、弾ける白い煙玉。やがて煙の粒子が銀河のように散らばると、次曲のイントロと共に幕が上がる。会場全体の集中力が一気にステージへ向かっているのがわかる。以降も、児玉裕一監督が制作した数々の映像作品が、セクションチェンジをはじめ要所要所でライヴの起点となっていた。白い衣装を身にまとったメンバーは、最初のブロックで『大発見』の楽曲を中心に、椎名林檎名義の新曲NHK朝ドラ主題歌の「カーネーション」なども披露。シンプルなステージセットが、楽曲そのものの魅力と成熟したアンサンブルの妙を際立たせた。

次のブロックで黒の衣装に着替えたメンバーは、「恐るべき大人達」、「かつては男と女」、児玉監督が作詞も手がけた、DVD作品『CS Channel』収録の「ハンサム過ぎて」など艶やかなグルーヴが刺激的なナンバーを続けた。そこから浮雲と伊澤がラップを披露した「秘密」を契機に、ステージは“電飾階段”の登場などダイナミックかつゴージャスな様相を呈していく。「ドーパミント!」から椎名林檎がステージ上でピンクのミニドレスに早着替えしての「女の子は誰でも」へとつないだ流れは、惚れ惚れするほどキュートだった。
テレビ画面に流れる砂嵐、カラーバー、ザッピングされていく番組の映像から、本編ラストブロックに突入。メンバーはどこかバウハウスやクラフトワークを想像させるデザインの衣装にチェンジ。ここからの「歌舞伎」、「ミラーボール」、「能動的三分間」、「OSCA」、「絶対値対相対値」、「電波通信」と——まるでライヴ中に限界を更新していくようなバンド・サウンドの凄みを見せる展開は、圧巻のひとこと。特に刄田と亀田のリズム隊にかかる負担は、想像を絶するものがある。そこに、東京事変のタフな“覚悟”が浮き彫りになっていた。一転して、静謐なムードのなかで切実な祈りのように響いた「電気のない都市」を経て、本編のクライマックスへ。ラストは「21世紀宇宙の子」、「閃光少女」と多幸感に満ちたポップネスを全開にして本編の幕を閉じた。

アンコールの1曲目では、1月18日にリリースされるアルバム『color bars』に収録される「今夜はから騒ぎ」をプレイ。そして、大歓声が上がったデビュー曲「群青日和」、『大発見』の象徴的存在でもある「新しい文明開化」で感動的な大団円を迎えた。
『大発見』同様、この日のライヴもまた、東京事変が創造する“至福のスタンダード”と呼ぶべきものだった。こんなライヴなら、何度でも観たい。そう思ったのは筆者だけではないだろう。(文/三宅正一)